《短編》砂山のトンネル
夢
あれから二ヶ月ほどがたった。
ミキからは合否の連絡がないまま、俺は派遣で工場に勤めだした。
二交代で、今までダラダラ生活してたぶんきついけど、まぁ…何とかやっている。
それはあの日手放してしまった夢を、もう一度掴もうと決めたからだった。
「俺、兄貴が嫌いなんだよ。」
ある日曜日
炬燵に体を納めて仰向けに寝ころびながら、俺の頭の先を歩いていた兄貴を見上げながら言った。
逆さまに見える兄貴は、何とも言えない顔をしていた。
「はぁ?」
「俺より背が高いし、頭もいいだろ!ミキだって俺より兄貴のこと好きだった!!」
「それで?」
兄貴は俺の反対側に腰を下ろし炬燵に入った。
俺は起きあがりながら話を続けた。
「大学もいったし、好きな仕事してる。俺が欲しかったもの持ってないものを沢山持ってる!だから嫌いだ。」
俺がそう言うと、兄貴は何にも言わなかった。ただ、俺が話すことを顔色一つ変えずに聞いていて、俺は話を続けた。
「でもさ、俺は挫折したことねーんだよ。」
そう言った瞬間、兄貴の目が少し見開かれた。
「なぁ…兄貴は、挫折したことあるか?」
ミキからは合否の連絡がないまま、俺は派遣で工場に勤めだした。
二交代で、今までダラダラ生活してたぶんきついけど、まぁ…何とかやっている。
それはあの日手放してしまった夢を、もう一度掴もうと決めたからだった。
「俺、兄貴が嫌いなんだよ。」
ある日曜日
炬燵に体を納めて仰向けに寝ころびながら、俺の頭の先を歩いていた兄貴を見上げながら言った。
逆さまに見える兄貴は、何とも言えない顔をしていた。
「はぁ?」
「俺より背が高いし、頭もいいだろ!ミキだって俺より兄貴のこと好きだった!!」
「それで?」
兄貴は俺の反対側に腰を下ろし炬燵に入った。
俺は起きあがりながら話を続けた。
「大学もいったし、好きな仕事してる。俺が欲しかったもの持ってないものを沢山持ってる!だから嫌いだ。」
俺がそう言うと、兄貴は何にも言わなかった。ただ、俺が話すことを顔色一つ変えずに聞いていて、俺は話を続けた。
「でもさ、俺は挫折したことねーんだよ。」
そう言った瞬間、兄貴の目が少し見開かれた。
「なぁ…兄貴は、挫折したことあるか?」