アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
それから30分くらいたった頃、ようやく2人の会話が終わった。
「なんで正座?」
「な、なんでって言われましても」
突然、伸也さんに話し掛けられたから声が裏返った。
それにお兄さんの異様な威圧感のせいで何故か敬語。
「何で敬語?」
やっぱりそこ、突っ込まれるよね。
「…………」
理由なんてないから答えられない。
お兄さんが怖いって理由はあるけど、言えないし。
それなのに、伸也さんは私の返事を待っているのか、私から目を逸らさない。
何か言わなきゃと焦っていると、いきなりお兄さんが大爆笑し始めた。
何に笑ってるのか分からないお兄様。
笑ってるのは確かなんだけど、声が低すぎて笑い声すら怖く感じてしまう。