アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


私は伸也さんの隣に素直に腰掛けた。



「何で割った?」



「自分を……見たくなくて」



「なんで?」



「醜いから」



「亜美」



伸也さんは頭を抱えるようにして、切なそうな声で私の名を呼ぶ。




「私、やっぱり眠れなくて、食べれなくて、体がどんどん骸骨みたくなって、全部あいつらのせいで、私汚い」



「何で今まで黙ってたんだ?」



伸也さんの声が低くなる。



「だって、伸也さんに迷惑かけれないし、伸也さんいつもいないし」



「俺はお前を守るって言っただろ?信じられないか?」



信じられない。



女が沢山いる伸也さんの言葉なんて信じられない。




「わからない」



「いいか?これからは何でも話せ」



「わからない」



「何でお前は、そんなんなんだよ。ほっとけねぇだろ」



呟くような伸也さんの声。


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