アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「キョロキョロするな」
「えっ?」
「嫌なもの見えるかもしれないだろ」
「そうだね」
私は伸也さんの洋服の裾を掴み、伸也さんの背中だけを見つめて階段を上った。
細く見えるけど、意外に背中大きいんだな。
「もういいぞ」
伸也さんが使っている部屋に入ると、いきなり洋服を脱ぎだした。
「えっ?」
「仕事の服に着替える」
「そう」
「赤くなるなよ。変態」
「店の中が暑かっただけだよ」
伸也さんは、私の前でもお構いナシに淡々とスーツへと着替えた。
「ここで、いい子にしてろよ」
そう言って頭にポンと手を置かれた。
その瞬間、ドキッと音を鳴らす私の体。
ビクッの次はドキッかよ。
忙しい体だ。