アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
でも、やっぱり光はあって、光のほうから声なんかも聞こえてくる。
誰かの泣きじゃくる声。
バタバタと慌しい音。
真っ白の世界よりも今のほうが落ち着くな。
眠ったりできるのかな?
お腹すかないかな?
とか変なことばかりを考えちゃう。
音と光だけの世界は時間がどれだけ過ぎたのかはわからないけど、長く感じると思う。
永遠にこのままなのかと思うと、悲しくなった。
悲しみを感じた瞬間、優しい手に包まれた。
あったかい。
ママ?
声が出ない。
ママだよね?
声にはなっていないけど、必死で叫ぶ。
「いきなさい。みんなそばにいるから」
私はママの腕の中にいる。
きっと生まれたときもこうして、ママの腕の中で安らぎを感じていたんだろう。
これからはずっとこうしていたい。