アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「亜美?先生呼べ!!」



何?どこ?



「新垣さん。わかりますか?」




白衣を着た先生。




沢山の機械に繋がれた体。





私、死んでない……




じゃあ、さっきの感覚は何?



どうして?




感覚のない私の左手を握っている伸也さん。




どうして助けたの?




私は死ぬ以外に責任の取り方なんて、わからないのに。



助かってしまったことが悔しくて、死ぬことさえ許してもらえなかったことが憎くて、涙が溢れた。




それでも、頬を流れた涙は温かかった。




涙って温かいものなんだ。




「亜美、頑張ってくれ。」




かすれた伸也さんの声。



ねぇ、伸也さん。



私、死ぬのなんて怖くないよ。



でも、この汚れた体で誰かに憎まれて生きることのほうがよっぽど怖い。




だから、私は頑張れないよ。


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