アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
病室のドアは開閉する度に、ガラガラと音を鳴らす。
今日も、また伸也さんが来た。
「だいぶ良くなったみたいだな」
「…………」
「口利けるだろ?良くなるの待ってたんだ。話がしたくて」
「…………」
「どうだった?」
はっ?何が?
「口利けねぇのか?」
お婆さんが横でクスクスと笑う。
「三途の川あったか?」
そんなもんねぇよ。
「死ねなくて残念か?」
かなりな。
「何で助けたんだよ?とか憎んでるのか?」
少し。
「お前バカだから、俺との約束忘れたか?」
約束なんてした覚えはない。
「守るって言っただろ」