アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「ただ行けばいい」





伸也さんには、何でもお見通しだね。




久々に人と話したことで、色んなことを聞きたかった。




色んなことを聞いてほしかった。




でも、そんなこと許されないんじゃないかって、聞くことも話すこともできない。



「また、明日来る」



私がコクリと頷くのを確認すると、伸也さんはお婆さんに頭を下げて病室を出て行った。





伸也さんが病室を出るとすぐにお婆さんが近づいてくる。




「ちょっといいかしら?」





「うん」





「私は明日手術なの」





突然、自分の話を始めたお婆さんは、私のベッドに腰掛ける。







「腰が悪くて、明日手術なの」






何を答えればいい?




頑張ってとか言うべきなのかな?








「成功したら、連絡先を教えて頂戴」







ん?





「何で?」






「私のお友達になってくれないかしら?」






「いいよ。でも成功したらなの?」





「そうよ。成功したらでいいから」









私には何で手術の結果と友達になることが関係あるのかわからない。





わからないけど、手術は成功して欲しい。




お婆さんの腰が真っ直ぐになればいいと思う。

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