アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
私が話し終わると、伸也さんはいつもの伸也さんに戻っていた。
もう二度と、さっきの伸也さんを見なくて済むように、私はしっかりしなくちゃいけないんだ。
「それと、レイカはもともと、ここのたまり場にいた奴でおれの前の女だ。遊んでた奴の一人。だから、こたぁや猛のことを知ってる」
伸也さんの、この言葉に少し悲しくなる。
私も伸也さんの女の一人。
遊んでいた奴の一人。
そう言われてるんだろう。
でも、私は伸也さんが好きで、伸也さんは私のために涙を流してくれた。
世間一般的な彼女じゃなかったとしても、私はこれだけで満足だ。
あの一粒の涙だけで生きていける気さえしていた。