アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


カウンターの中に消えた伸也さんは、女の人と何か話してる。



その声は段々と近づいてきて、言い合いをしてることに気づく。



「いいじゃないの!初めまして、伸也の前の母親です」



「えっ?」



「亜美ちゃんだっけ?沢山食べてね」



「は、はい」



伸也さんの前の母親だと言う女の人は、伸也さんより少し年上くらいに見えて、母親になんて到底見えない。



「亜美、構わなくていい」



「あら、やだ。この子、照れてるのかしら」



「伸也さん?」



「コイツは親父の3人目の再婚相手だ。すぐに離婚したけどな」



「私は愛人肌なのよ。結婚は向いていなかっただけ。今でも仲良くしてるわよ」



「そうかよ」



女の人は「ごゆっくり」とカウンターの中へ戻って行った。



「また、ハンバーグ?」



「好きなんだよ」



やっぱり、何度見ても可笑しな光景。



伸也さんとハンバーグだなんて、ミスマッチすぎる。

< 169 / 688 >

この作品をシェア

pagetop