アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


車の中で「友達か?」ってバカにするような言い方をする伸也さんに、少しムッとして返事をしないまま家に着いた。



「茶化して悪かった」



「うん」



「名前は?」



「知らない」



「はぁ?」



また、名前聞き忘れた。



「まだ9時だけど、どこにも行かないの?」



「お前が行きたいなら行くぞ」



「特にはない」



お婆さんに、何で会いに行ったとか、何で連絡先教えたとか聞かれても上手く答えられない気がして、話を変えた。



伸也さんは、その気持ちをわかってくれるかもしれないけど、受付の一軒で少し距離を感じてしまった。



名前で態度を変えられる伸也さん。



そのことに、何の違和感も感じない伸也さん。



私のパパに、そういう所が似ている気がして、近づくのが怖くなる。




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