アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
一週間がたっても、お婆さんからの連絡はない。
リハビリを応援しに行ったほうがいいのかな?って思ったけど、どんな言葉をかければいいのかわかんない。
こういう時、普通なら「頑張って」とか言うんだろうけど、顔を歪めながら頑張っているお婆さんにこれ以上、頑張ってなんて言えない。
そんなに頑張らなくてもいいんじゃないって言っちゃいそうで。
だから、行けなかった。
そうやって、ただ時間だけが過ぎていって大切なことを忘れてた。
学校……
退院したのに、ずっと行ってない。
学校には行けって口うるさい伸也さんも、何も言ってこない。
いつものように溜まり場にいると、仕事から帰ってきた伸也さんが私を迎に来た。
「私、学校行かなきゃいけないよね」
ソファーに座りながら、伸也さんを見上げる形で聞いてみた。
ドアの前に立っている伸也さんは、目線だけを私に向ける。
なんか、機嫌悪いのかも。
「伸也さん、私には口うるさく言わなくなったから」
「…………」
何も答えずに、タバコに火をつける。
やっぱり、今日は機嫌が良くないらしい。
今度にしよう。
別に、今日じゃなくたっていいんだし。
「なんとなく気になっただけだから。じゃあ部屋戻ろう」
返事は相変わらずないけど、伸也さんの怖い視線に耐えられなくて、先に部屋を出た。