アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
伸也さんの機嫌はやっぱり治らなくて、私は一人でべッドに入った。
いつも隣にいてくれる右側が何だかスカスカする。
寂しさが不安に変わってきそうで、右側を見ないように背を向けた。
アイマスクをして目を閉じるけど寝れそうにない。
「お前にどう接すればいいかわからなくなってた」
ベッドが大きく沈んだのと同時に、伸也さんの声が聞こえた。
「お前が消えちまうのが怖くて、何も言えなかった。だから、学校に行けとも言えなくなった」
「うん」
「俺も同じだから」
「えっ?」
「俺もお前と同じで死ぬのは怖くねぇ。だから、怖くてたまらねぇ」
「私、伸也さんを一人にしないよ。信じて」
アイマスクをはずして伸也さんの手を握ると、伸也さんは優しい顔で微笑んでくれた。
私の好きな伸也さんの顔。
「もう寝ろ」
「うん」
私のした行動は、こんなにも人の気持ちを揺さぶってしまうことなんだ。
あんなに強い伸也さんに、こんなことを言わせてしまうんだから。