アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
“陰口”がうるさいから、お昼は中庭の隅に隠れながら食べていた。
「新垣さん?」
名前を呼ばれて顔を上げると、茶髪に鼻にピアスをつけた男が目の前に立っていた。
「何?」
「俺のことわからない?」
「知らない」
関わりたくないから、そっけない返事をする。
「1年のとき隣の席だった、コウスケなんだけど」
「はっ?」
「かなり変わったから、わからなくて当然か」
1年のときに隣に座っていた奴は、学ランを一番上までしめて、見たからにがり勉ですって男だったはず。
何が理由でこんなんになったんだか。
「で、何の用?」
「大丈夫かなって思って」
「何が?」
「いや、色々と……」
「気にしてない」
「新垣さんは強いね」
そう言いながら、私の隣に座った男。