アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
裏切り
「亜美ちゃん」
優しく私を包むような声。
「コウスケ」
「大丈夫?じゃないよね」
「もう平気」
精一杯の強がり。
「話くらい聞けるよ。学校から出よう」
私の腕を掴んだコウスケの手が、伸也さんの温もりのように暖かくて、私はコウスケに言われるがまま、ついていった。
コウスケの温もりが、私を救ってくれるかもしれない。
地下鉄に乗って、気づくとそこはホテル街だった。
「コウスケ?」
「亜美ちゃんごめんね。2人でゆっくり話せる場所って他に思いつかなくて」
申し訳なさそうに私の顔を見るコウスケ。
「ここでいいよ。ありがとう」
コウスケに下心があるなんて思えない。
それに、下心があったとしても私のことを好きなんだから仕方ない。
今はただこの苦しみから救って欲しい。