アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「コウスケ、どうして」



「はっ?」



「全部嘘?」



「騙しやすかったよ」



そう言って笑うコウスケ。


私はなんてバカなんだろう。



あんな簡単に人を信じて。


人は裏切る物だってわかっていたはずなのに。



ボコっ



悔しさを我慢しながら握りこぶしを作ると、伸也さんは笑い転げるコウスケを蹴り上げた。



「今度、亜美に近づいたら、どうなるか覚えておけよ。最後の忠告だ」



伸也さんは恭に向かってそう言うと、私の手を引いて部屋を出た。



ドアの前や廊下には男達が倒れている。



きっと、伸也さんがやったんだ。



この街を仕切る伸也さんの怖さが少し分かったような気がした。


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