アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
私に腕枕をしたまま、伸也さんは寝息を立てて寝ている。
眠ってしまうのがもったいなくて寝たくないし、朝になって、今日のことが夢だったと消えてしまうのが怖かった。
恭のことは憎いけど、私も悪かったんだ。
何もわからないまま、簡単に愛を口にしていた。
恭の上辺だけの言葉を簡単に信じた。
さっきまでは呪ってやりたいほど憎かったけれど、私の体が汚されなければ、伸也さんに出会うことはなかったかもしれない。
こんな幸せを感じることはなかったかもしれない。
だから、もう憎しみは捨てて、隣で寝ている私の愛おしい人にすべての時間を注ぎたい。
そう、思ったはずなのに……
私には残酷すぎる試練が待ち受けていた。