アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
ご飯を食べた後、街の美容院に連れて行かれた。
「酷い頭だね」
担当についてくれた男の人は、私の髪を持ち上げながら呆れた声を出す。
「可愛くしてやって」
伸也さんは男の人にそう言うと、奥の椅子に座って雑誌を読み始めた。
「とびっきり、可愛くするから」
営業スマイルを浮かべた男は、すぐに手を動かし始める。
カラーはピンクアッシュとか言っていたけど、どこがピンクなのかわからない色。
ほんのりと赤みを帯びた、アッシュブラウンに胸まで伸びた髪にはクルクルのパーマをかけられた。
「見違える……」
そう呟いた男は伸也さんの元へ言って何かを話すと、すぐに戻ってきて、私の顔をいじりだした。
メイクなんて、いつ振りだろう……
全部で4時間もかかったから、体は痛くなって窓からは夕日が差し込んでいた。