アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「私、なんでここにいるの?」
「いくら起こしても起きねぇから連れて来た」
「そっか。こたぁはいつ目を覚ましたの?」
カズに目を向けると、カズは私の手を握り「ごめんね」と一言呟いた。
「カズ、話して」
「亜美が自殺未遂をした日、こたぁは目を覚ました。でも、まだ、様態が安定しなくて、亜美に負担をかけないように、みんなには黙っててもらったの。ごめんね」
「カズ、一人で辛かったじゃん。私に償いさせてよ。カズを支えるんだから」
「あんなに弱ったお前の姿見たら、できなかったんだよ」
伸也さんが横から口を挟む。
「亜美、責任なんて感じるな。俺らは仲間のためなら同じことをする。だから、亜美も仲間のこと思ってくれればそれでいい」
タバコを咥えながら、こたぁは優しくそう言った。
「こたぁ、まだ禁煙でしょ」
カズがこたぁに殴りかかろうとする。
「退院したててで、また病院送りにするつもりかよ」
みんなの笑い声が部屋中に響き渡る。