アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
今、私の目に映るこの景色は、最後までいい景色に映ることはなかった。
3年間の思い出は、思い出したくない思い出となるんだろう。
体育館に集まる沢山の人ゴミの中で、私の瞳は愛する人をとらえた。
伸也さん。
仕事の時のようにスーツを着こなし、シルバーの髪が一際目立つ。
父母席の真ん中で、私だけを見つめている。
退場の音楽が流れるとともに、私の涙は溢れ出した。
伸也さんの横を通ったとき「おめでとう」と微笑まれた。
ありがとう。
ありがとう、伸也さん。
普通の子のように家族に祝ってもらえることはなかったけど、私は伸也さんに祝ってもらえるならそれでいい。
涙を拭い、伸也さんに笑顔をむけると、腕を引かれ抱きしめられた。