アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
“shot”の前で車は止まり、私達はお店の中へと入った。
色鮮やかなネオンが私を照らす。
お店には何度も来ていたけど、私はいつも店内を横切るだけで、この場に立つのは始めて。
沢山のライトがクルクルと回り、大音量の音楽が体全身に響く。
「亜美、カズ達はカウンターのほうにいるぞ」
「うん。行って来る」
「エスコートしますよ」
遼ちんが、私の目線まで屈み手を差し伸べる。
私はその手を掴んでいいのかわからずに、伸也さんに視線を向けた。
「今日はお前が主役だ。やりたいようにやれ」
「うん」
私はそっと遼ちんの手の平に手を乗せた。
「それでは出発」
カウンターまでの道のりは距離にすると短いけれど、沢山の人で溢れかえっている。
「今日は貸切じゃないの?」
「貸切だよ」
そう微笑む遼ちんの言っている意味がわからない。