アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「レイカ」
私の名前を呼んでくれる、大好きな声は目の前にいるこの女の名前を呼んだ。
扉が開くと同時に、レイカさんは伸也さんに抱きついた。
「レイカ、またここにいたのか?大丈夫か?」
「亜美ちゃんが、偶然来てくれたから大丈夫」
レイカさんのその言葉に、伸也さんは驚いた顔をして私を見つめた。
「亜美、なんでここに……」
レイカさんを抱きしめた手が私へと伸びてくる。
「ヤッ!」
私は咄嗟に伸也さんの手を拒んでしまった。
悲しそうな顔の伸也さん。
「伸也、家まで送って頂戴」
「わかった」
レイカさんは伸也さんの腕に手を絡め、裏口から出て行った。
伸也さんとレイカさんは今も続いているの?
やっぱり伸也さんは私だけのものじゃない?
悲しさと絶望感が涙となって溢れてくる。
私は全身の力が抜けて、その場に崩れ落ちた。