アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
居間へと伸也さんを案内して、私はソファーに腰掛けた。
伸也さんは私の横へと腰を下ろす。
「食わないのか?」
「あっ……うん」
伸也さんが来ることがわかっていたんだから、コーヒーくらい買っておけばよかった。
「伸也さん……」
「ん?」
「飲み物ないや」
「気にすんな」
いつも以上に優しい伸也さん。
今更、優しくなんてしないで欲しい。
私は気を紛らわすかのようにパンとヨーグルトを一気に食べた。
伸也さんは隣に座り、ただ私のことを見ている。