アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「付き合えないよ。私は伸也さんが好き。だから、付き合えない」



「じゃあ、彼氏彼女の関係じゃなくていい。亜美の側で亜美を守らせてくれ」



「私は誰かに守られなくても平気。仲間がいるし、大丈夫」



「じゃあ、これはなんなんだよ!」



祐の声はいきなり大きくなって、私の左手を掴み上げた。



「イヤッ!」



祐の手を振りほどこうとしたけど、離れない。



「入学式の日、亜美の制服の隙間から傷が見えたんだ。それを見てほっとけなかった。俺がどうにかしてやりたかった」



強い力を感じる祐の瞳。



「私は一人で……大丈夫」



「俺のこと好きになれないならそれでいい。亜美が本当に一人でいられるようになるまで、側にいさせてくれ」



無口な祐がこんなにも沢山のことを喋る姿を始めて見た。



必死さが伝わってくる。



「でも、私には好きな人がいて……祐のことを思えないのに、甘えたりできない」



「俺はそうしてもらいたいんだ」



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