アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
私は冷蔵庫をあけて、野菜とベーコンを取り出しお湯をいれた鍋を火にかけた。
いつものようにパスタを完成させて、祐の前に出す。
「どーぞ」
「サンキュ」
「飲み物はお茶でいい?」
「あぁ。うまい」
「良かった」
食べ終わると祐が食器を洗ってくれた。
「なぁ」
「ん?」
「自分を傷つけるのやめてくれ」
祐の言葉に携帯をいじっていた手が止まる。
「その傷が増えるたびに、苦しくなる」
「……」
私の左腕についている、沢山の赤い線。
「辛いなら俺に言え」
辛いから切っている。
もうそんなことではなくなっていた。
毎日の日課のようにカミソリを腕に当てているから、辛いと感じることはない。
心の痛みを感じないように、体に痛みを与える。
それが私の日課になっていた。