アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「亜美、頼む」
祐の悲しい顔。
私が切ることによって、祐を悲しませているの?
「どうしてそんな顔するの?」
「亜美に何もしてやれないから」
「祐は私の大切な仲間だよ」
「あぁ、それなのに亜美を苦しみから救えない」
祐は項垂れるように頭を下げた。
「祐」
「俺がなんでもする。だから切らないでくれ。自分を傷つけないでくれ」
「うん」
「ホントか?」
私の一言に祐は顔を上げる。
「切らないようにしてみる」
大切な誰かを傷つけたくない。
もう大切な人を失いたくない。
そんな思いが、私の心いっぱいに広がった。