アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
敵
私は自分の苦しみと戦うことに精一杯で、周りの変化に気づくことが出来なかった。
カズと一緒にいることが少なくなったこたぁと猛。
いつの間にか、カズの手に握られているお菓子の袋。
鳴り止まない、こたぁの携帯。
今思えば、明らかに何かが変わっていた。
「亜美、話がある」
夏休みのある日、こたぁから真剣な声で電話が来た。
「うん」
「迎えに行くから出て来い」
「わかった」
私はボサボサの頭にジャージ姿で外へと出た。
そこに止まっていた車に息苦しさを感じる。
きっと、呼吸することさえできないでいた。
だって、そこに止まっていたのは……