アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
本当はこの時、抱きつきたかった。
「伸也さん」って叫んで泣き崩れたかった。
「助けて」ってすがりたかった。
そうしておけばよかったんだ。
伸也さんに、もう一度触れておけば、良かったのに……
「こっちで話そう」
私は伸也さんに連れられて、ソファーに腰掛けた。
「お前は、また狙われてる」
「えっ?」
「お前を守るために、俺らは戦う」
「どういうこと?」
伸也さんは眉間にしわを寄せて、重たそうに口を開いた。