アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「行くぞ」



伸也さんの言葉に、溜まり場にいた男達がゾロゾロと部屋を出て行く。



「お前は亜美の側にいろ」



伸也さんは祐にそう命令した。



「どこに行ったの?」



カズに聞いても、答えてくれない。



カズには私の声が聞こえていないのか、夢中でお菓子を食べ続けている。



そして、溜まり場で3日間を過ごした。



祐と私とカズの3人で……



私は何度も祐に外に出して欲しいと頼んだけど、聞き入れてはくれなかった。



伸也さんから聞いたことが、頭の中を何度も駆け巡る。



その度にカミソリの感触が恋しくなる。



でも、祐の前で切ることはできない。



その繰り返しに、私はおかしくなりそうだった。



この場から逃げ出したくてたまらなかった。


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