アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


マンションの前でタクシーを拾い、病院名を告げる。



ママ、今行くから。



街のネオンに照らされながら、私は気持ちを落ち着かせ、ママの優しい顔を思い出していた。



病院は街からそう遠くはなく、私はタクシーを降りた瞬間に走り出した。



もちろん、扉は閉まっている。



でも、緊急出入り口があるはず。



キョロキョロとしながら、光の見えるほうへと足を進める。



「亜美、よく来たな」



背後からかけられた声に体が震える。



「恭……」



「わざわざ、お前のほうから出向いてくれるなんて、手間が省けた」



薄気味悪い、恭の顔。



「連れて行け」と男に命令した恭は、誰かに電話をかけている。



知らない男に腕を捕まれるだけで、鳥肌が立つ。



手足を縛られ、私は病院の裏の倉庫に連れて行かれた。

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