アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


伸也さんが私を抱きしめてくれる。



やっと触れられた。



「バカなことしてんな」って言いながら、私の首を押さえてくれる伸也さん。



「僕は……やってない。君、が勝手に……」



境は自分の手についた、私の血を見ながら震えている。



「やれ」



伸也さんの掛け声で、乱闘が始まる。



こたぁや猛、遼ちんの姿……



みんなが来てくれたなら、もう大丈夫。



安心した途端、目の前の景色が歪む。



「亜美」



伸也さんが呼んでいる。



でも、目が開けられない。


でも、伸也さんに抱きかかえられる温もりだけは、ハッキリと感じていた。


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