アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
祐は私の手を引き、バイクに乗せた。
ピンクのヘルメットを被り、バイクの後ろで泣き叫んだ。
祐の服は、私の涙や鼻水でベチャベチャだったけど、泣き声や嗚咽はエンジン音にかき消されていた。
家に着く頃には、私の涙はおさまり、祐にお礼を言って階段を上った。
後一段で登りきる。
重たい体に鞭を打って最後の一歩のために足を持ち上げた。
その時、後ろからフワッと温かいものに包まれる。
「亜美、伸也さんを好きなままでいい。俺の所に来い。もう一人で頑張るな」
ギリギリだった私の心は、祐のその言葉に糸が切れてしまった。
祐の胸の中で泣いた。
背中を擦られながら、泣き続けた。
そして、私は泣き付かれて眠ってしまった。