アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女

話が急すぎて、訳がわからなくなってきた。



でも、祐の顔は真剣で冗談を言っているわけじゃない。



「じゃあ、後のことは祐と亜美で決めろ」



こたぁはそう言うと、カズの手を引き、部屋を出て行こうとした。



その時、玄関から伸也さんの香りがした。



「お疲れーっす」



こたぁの口調から来たのは間違いなく伸也さんだ。



「決まったか？」



廊下で伸也さんの声がする。



「決まってないんすよ」



こたぁのその言葉と同時に祐が勢いよく、扉を開いた。



「俺が面倒みます。伸也さんは心配しないで下さい」



祐が挑発的に伸也さんの前に立ちふさがる。



「そうか」



私から伸也さんの顔は見えない。