アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
何しに来るんだか。
一応、ジーパンとトレーナーを着た。
痩せたかな?
ウエストにゆとりが出来てしまっていて、ジーンズが下がってくる。
仕方なくタンスからベルトを引っ張り出してつけることにした。
「出かけるから」
ママに声をかけても返答がない。
家にいるかどうかもわからないけど。
マンションの前にしゃがみ込んでいると、黒いワゴンがにとまった。
「亜美ちゃん、久しぶり。亜美ちゃん?」
「何?」
「なんでもない乗って」
車内は暗くて、運転手の顔すらよく見えない。
車に乗っているのは運転手の他は3人だけ。
「Shot向かって」
「おう」
小橋が運転手に話しかけた。
「この車小橋の?」
「違うよ。それより、水臭いな。猛って呼んでよ」
「わかった。猛、Shotってどこ?」
「この間の所だよ。伸也さんがいた所」
「あいつの所に行くの?」
「イヤ?」
「別に」
本当はイヤだった。
あんなこと言われたんだから、二度と会いたくない。