アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「祐、ごめん。私は伸也さんが好き」



「知ってる。それでも、俺を選んでくれたんじゃないのか?」



「祐の優しさに甘えてただけ。断り切れなかっただけ」



「それでもいい。なんで、今更?」



「今日、祐のお父さんが来たでしょ。それを見て思ったの。祐は私を理解できないって」



「なんでだよ?親父がきたから理解できねぇなんて意味わかんない」



祐の声がまた大きくなる。



「俺は最初からこうなると思ってた」



突然の声に驚き、ドアの方を見ると、こたぁが腕を組んで立っていた。



「なんだよそれ」



「俺は初めに言っただろ?お前じゃあ無理だって」



「言ったけど……親父が理由なのか?」



「あぁ。お前の家族は俺らから見たら幸せな家族なんだよ。その中で育ったお前には俺達の苦しみはわかんねぇ」



「でも、それ以外では亜美を支えられる」



「お前がいつ亜美を支えた?」



こたぁの厳しい言葉が祐を攻める。


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