アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「支えてたよ」
「亜美は一人でいる時よりも、お前といるようになってからのほうが、痩せてるぞ。手の傷も増えてる。それでも支えてたのか?」
祐は悔しそうな顔をして、目線を下げた。
「祐、ごめんなさい。祐の優しさに救われた。でも、私は初めから祐に伸也さんを重ねてた。髪の色や祐の香りに伸也さんを思い出していた」
「これ……わざとなんだ」
「えっ?」
「伸也さんと亜美が付き合ってることも、別れたことも前から知ってた。だから、俺はわざと伸也さんの真似をした。最低だろ。亜美を支えたかったんじゃない。亜美を伸也さんから奪いたかったんだ」
「亜美は由梨絵じゃない」
こたぁの言葉に祐が涙を流す。
「やっぱり、そうか」
伸也さんも由梨絵を知っているらしい。
「亜美、謝らなきゃいけないのは俺のほうなんだ」
「どういうこと?」
「由梨絵は俺の幼馴染だ。年は俺より2つ上。アイツは中学にあがると、街に出入りするようになって、好きな奴ができたって言ってた。俺は昔から由梨絵のことが好きだったんだ」
「うん」