アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
こんなことで人って笑えるんだ。
ただ好きな人が側にいる。
それだけで笑うことが出来る。
私は人を愛することも、愛されることも理解なんてしていなかった。
だから、愛に振り回される大人達を見て、馬鹿だと軽蔑した。
手に入らない架空の物に必死でしがみ付いている人間が愚かに見えた。
でも、そうじゃない。
振り回されても、愛だけで人は生きていけるって、その人達は知っていたんだ。
必死にしがみ付く価値のあるものだって、その人達は分かっていたんだ。
馬鹿で愚かだったのは私のほうかもしれない。
愛を信じずに、人を疑って生きる私は、勝手に一人ぼっちになっていた。
真実を知るのが怖くて、大切な人たちと向き合ってこなかった。
一人になって当然だったのかもしれない。