アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
高校に入学してから、沢山のことがあった。
中学の時からあったか……
その中でも高校1年の夏休みに感じたこの気持ちは、私の一歩となったような気がする。
私の心にグルグルと巻きついていたものを解くための一歩。
私が生きるための一歩。
生まれてきた子供が始めての一歩を踏み出すように、私は2度目の一歩が踏み出せた。
伸也さんに出会えたことで……
人は何かに悩み、苦しみ、立ち止まってしまう。
日々は過ぎて行くというのに、心だけは苦しみ始めたその日に置いてきぼり。
どんなに悩んでも、苦しんでも、心に前を向く力をあげなければ苦しみの中を彷徨うだけ。
楽な道を探し、心の紛れる甘い誘惑にのる。
そうして、行くべき方向とは逆の方向へと進む。
後ろに進みすぎて前を見ても出口なんか見えなくなる。