アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「猛、連れてけ」
「はい」
猛に手を引かれながら、部屋を出て2つ隣の部屋に入った。
「ここは?」
「先輩の部屋」
「勝手にいいの?」
「大丈夫。亜美ちゃん、伸也さんにあんなこと言っちゃダメだよ。さっきも話したけど、怒らせると怖い人なんだから」
「でも、ムカついて」
「聞きたくないかもしれないけど あの日、亜美ちゃん気を失ってたでしょ?だから、あのまま、あそこに倒れてたら他の奴にもヤラれてたかもしれないんだよ。現に男が亜美ちゃんを連れ去ろうとしていたところを伸也さんが見つけて助けてくれたんだから」
「そう」
「亜美ちゃん……」
勘弁してよと言わんばかりの顔で猛はうなだれる。
「今日は帰る」
「わかった。送るよ」
強引に誘ってきたのに、私が余計なことを言ったせいか、猛はあっさりと帰してくれた。
車の中から見える景色は輝いているように見える。
眠らない街にいれば私の傷も少しは癒えるかもしれない。
何故かこの時、こんなバカなことを思っていた。
それは、あまりにネオンが綺麗で……
私も綺麗な体に戻りたいという願望だったのかもしれない。