アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「それはお爺さんがいてくれるからかしらね。私は幸せだもの」



「お爺さん?」



私がたまさんに聞き返すと、たまさんは奥の和室に向かって行った。



「お爺さんがこうして生きていてくれることが私が笑える理由ね。一人じゃきっと笑えなかったわね」



話しかけても返答のない寝たきりの旦那さん。



普通はたまさん夫婦を見て、幸せな夫婦だとは思わないだろう。



でも、たまさんはそれを幸せだと言う。



そして、笑顔になれるのは旦那さんのお陰だと言う。


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