アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
家に着くと、私は再び伸也さんに纏わりつく。
「何かあったのか?」
「わからない」
私の返答に大きなため息をついた伸也さんは、私の体をゆっくりと離そうとする。
「ヤダ!」
「いつまでこうしてるつもりだ」
「わからない」
「言いたいことがあるなら言え」
伸也さんに何か言いたいことがあるわけじゃない。
ただ、なんだか怖いの。
寂しいの。
それがどうしてなのかはわからない。
「亜美、言え」
離れようとしない私に伸也さんの声は低くなる。
「ヤダ」
例え、どうして寂しいかがわかったとしても、寂しいなんて言えるほど素直じゃない。