アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
いつもと違う乱暴な抱き方に冷たい瞳。
感情のこもっていない温もり。
すべてが怖かった。
「……っ悪い」
一瞬、私から体を離した伸也さんの顔が歪む。
「泣くな。もうしない」
私、泣いてたんだ。
頬を触ると涙で手が濡れる。
起き上がると全身が震えていることに気づく。
そんな私に背を向けたままの伸也さんは、携帯を持ち玄関に向かった。
「どこ行くの?」
咄嗟に伸也さんを追いかけた私。
でも、伸也さんから返事はなく、ドアの閉まる悲しい音が部屋中に響き渡った。