アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
あの日から、もう2ヶ月が経っていて、外にしゃがみこんでいるのも厳しい季節となった。
もう少しで2年生も終わる。
あと一年の辛抱だ。
「今日も来てんのか」
「はい」
「寒くないか?」
「少し」
この日、伸也さんは私の前で足を止めた。
「飯、食いに行くぞ。温かいもの食え」
「お腹すいてません」
「命令だ。自分で立て」
私が触らないでと叫んだ日から、伸也さんが私に触れることはなくなった。
そのことが少し嬉しいから、今日は付き合ってやるか。
立ち上がると、
「今日は素直だな」
と、口元を緩める伸也さん。
「寒いから」
「そうか」
タバコをつける仕草に少し見とれてしまった。
だって伸也さんの指は驚くほど綺麗だったから。