アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「何だ、その目は」



そういうことか。



いくら化粧で隠しても、祐には泣き腫らした目がわかるわけね。



「ちょっと喧嘩みたいなもん。気にしないで」



「えっ?亜美、誰と喧嘩したの?」



普通だったら、すぐ伸也さんだってわかりそうなもんだけど……



「伸也さんだろ?」



「あ、うん」



「大丈夫じゃないだろ。その腕なんだ?」



忘れてた。



手首の痣は隠すの忘れてた。



まだ夏服だから、手首をぐるっと一周、紫の筋がハッキリと見えていた。

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