アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


マンションのエレベーターで、ふと我に返る。



携帯しか持ってないし。



鍵もお財布も持っていないけど、一秒でも早く伸也さんに会いたかった。



この時は、その気持ちだけで他の事を冷静に考えることは出来なかった。



外に出ると眩しいネオンに目を細める。



小路を通って行った方が近道なんだけど、なるべく明るい道を通りながら“shot”まで向かった。



夜の街を一人で歩くのは久しぶり。



今更、恐怖が押し寄せてくる。



変な奴に声をかけられないように、足元を見ながら急ぎ足で歩く。



周りの声にびくつきながら、やっと“shot”が見えてきた。



ここまで、来たらもう大丈夫。



そう思って顔を上げると、コンビニが目に入る。


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