アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


強くしたといっても、集団に近づくたびに心臓の鼓動は早くなり、握り締めた手の平はじっとりと……



下を向き、早足で一気に通り過ぎれば大丈夫。



そう何度も言い聞かせ、集団の中に入っていった。



すると、私の視界にいくつかの足が見える。



止まったら負けだ。



でも、ぶつかったらイチャモンを付けられるかもしれない。



すぐに弱気の私になり、足を止めた。



見上げると男達が笑いながら、行く手をふさぐ。



「こんな時間に一人?」



夜にサングラスをかけた頭のおかしそうな男が話しかけてくる。



「……」



「あれシカト?」



ケタケタ笑う男達が気持ち悪い。



「何で一人?」



少し声が低くなった男は、もう一度同じ事を聞いてきた。


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