アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「待ち合わせ場所に向かってる」



「へぇ〜。こんな時間に一人で歩いてたら危ないよ」



顔を覗き込まれた時に、フワッとアルコールの匂いが鼻を突く。



「もうすぐだから」



「待ち合わせなんてやめて、俺達と遊ぼう」



「結構です」



断ったって、大人しく引き下がってくれるはずなんてない。



この場から、どう逃げ出そうか頭をフル回転させる。



男は前に2人。



左右に3人。



後ろに1人。



どう考えても後ろに逃げるのが確率が高いけど、後ろに逃げたって伸也さんには会えない。



しかも、マンションにも入れない。



オートロックなのに鍵を持ってこなかったことを、今更後悔する。


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