アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「亜美ちゃん、俺はもう行くね。バイバイ」
手を振りながら帰って行く遼ちん。
私は様々な思いが駆け巡り、伸也さんに抱きついた。
「怖かったのか?」
頭の上から降ってくる声に首を横に振る。
「どうした?」
「会いたかった」
怖い目付きの伸也さんが、私の言葉にいつもの表情に戻る。
「話は帰ってからだ」
「はい」
「今日はやけに素直だな」
そう言うと、私の手を引き歩き出した。
伸也さんの温もり……
ほんの少し触れなかっただけで、こんなにも懐かしい。