アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「じゃあコイツが、どんな状況にいるかも知ってるな?」
「はい」
「じゃあ、何で助けない?」
「それは……」
「ダチじゃねーのか?」
「それはですね……」
「さっさと答えろ」
威嚇するような伸也さんの声に、猛は固まっている。
「亜美ちゃんの前で、言っていいのかどうか」
「コイツは大丈夫だから話せ」
「亜美ちゃんを遣ったのは亜美ちゃんの彼氏で、名前は川崎 恭平。俺の一個上です」
「ホントか?」
伸也さんは私のほうを見て手を握った。
恭の名前を聞いて沸き上がってきた恐怖が、握られた手から消えていくのが、ハッキリとわかる。
「うん」
「そいつの幼馴染が桐藤 大地(キリトウ ダイチ)。」
「で、お前は怖くて何も出来ないって訳か」
「はい。すいません」