アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
伸也さんは大きなため息を吐き、タバコに火をつけた。
タバコを吸う一連の動作が格好いいな。
綺麗な指が挟むタバコに、しなやかな手つきでライターを持ち火をつける。
タバコの先っぽが赤くなって火をともすと、その光に吸い込まれていきそう。
「コイツをあいつらのところに連れて行け。カズとタメだろ?」
「はい。伸也さんは?」
「今日、俺はここから抜けれねぇ」
「わかりました」
「こたぁには、俺から連絡しとく」
「はい」
私はどこかに連れて行かれるらしい。
伸也さんと離れることは少し不安だな。
「大丈夫だ。何かあったら連絡しろ」
連絡しろって言ったって……
「連絡先知らない」
その言葉に伸也さんは笑って、私の携帯に番号を入れてくれた。
「亜美ちゃん行こうか」
「うん」
「猛、頼んだぞ」
「はい」